::SCM視点の在庫削減::
市場の需要というのはコントロールできないのだから、
需要の変化に対して供給サイドをいかに迅速に追従させるかがポイントになる。
すなわち、SCMの目的には、
需給調整を迅速に行える企業組織に生まれ変わることを目指すこともある。
この背景として、近年は、需要変化のスピードが速くなっており、
需要に対して生産を敏感に追従させないと、売り上げの機会損失が発生したり、
逆に、在庫が過剰になったりすることがある。
SCMでの在庫削減が、従来と視点が異なるのは、
たとえば、工場の生産仕掛や製品在庫だけが減らせればよいわけではなくて、
工場から全国の営業拠点や海外販社にいたるまでの
SCM全体に関する在庫削減を目指すことにある。
ジャストインタイム生産などで生産効率が良くなっても、
出来上がった製品が、海外販社で大量に在庫になっていたのでは意味がないからである。
生販の需給調整の機能は、計画のスパンによって目的が異なっている。
長期的な計画では、ダイナミックな調整が出来る代わりに、
精緻な活動プランに利用するには不向きである。
短期的な計画では、その逆になる。
各計画におけるそれぞれの生販調整が上手く出来ていないと、
在庫が増大する要因になってしまうので要注意だ。
::年度計画::
■工場の操業計画の結果で、増産及び減産であれば、外注政策との関連も発生するので、 営業と工場とで増産及び減産の可能な時期の調整を行う ■予想損益の結果で、利益が思わしくなければ、製品ミックスや販売計画の見直しなどの生販調整を行う
■新製品の市場投入による生産ライン整備や金型製作などの設備計画を行う場合、 実際の調達活動は、最新の新製品投入計画で行うべきであるので、緊密な生販調整を行う
■予算に基づいて長納期部品などの手配を行う場合、実際の発注行為は、 最新の計画で行う必要があるので、緊密な調整を行う |
::月次・週次計画::
販売計画は一度決定すれば、変更がないというわけではない。
生産側の都合で変更を許さないように強要したところで、
市場が変わってしまうのであれば、結局は在庫になってしまう。
市場が常に変動している前提で考えれば、
販売計画を定期的に見直す仕組みを考えるべきである。
一般的に、販売計画は、将来になるほど代わる可能性があり、直前になるほど確度が高くなる。
例えば毎月、6ヶ月先までに販売計画を立案し、
翌月分を確定として運用するようなケースもある。
この場合翌月よりも先の期間は変わりうることを前提として扱う。
生産側では生産準備や長納期部品などの手配などに使用し、
製品そのものを製造することはないような仕組みにすることで、
在庫の増大を防止することができる。
一部の長納期部品は在庫になるかもしれないが、
製品そのものが在庫になるよりも、影響が少ないからである。
::需給調整サイクル::
生販の需給調整は、通常、生販会議のような会議体での意思決定が多い。
例えば、在庫が逼迫しているときには、営業間で調整を行うなどの理由で、
会議での協議や合意形成が必要であった。
いかにも日本的な習慣ではあるが、この方法では月1回しか関係者が集合できないので、
市場変動に対してレスポンスが遅いなど、
変化の激しい時代にあっては、致命的なスピードの遅さになってしまう。
このため、SCM(サプライ・チェーン・プランニング)などのソフトウエアで
解決しようとする流れになっているが、
これを運用するには需給調整をミッションとする組織が必要になる。